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飽かぬ別れ

ジャンル無差別乱発

最上の愛と罵倒を

TOA:逆行だけど立場逆転かあやしくなってきたルク

↓続き
ドSな被験者イオン様の独壇場小話そのきゅう
どうしさまのさいごを少年はかたる。




*****
これで被験者イオン様編(なんというネーミングセンス…)は終了。
次は六神将編(…)なのでタイトルが変わります。
元ネタはこれと同タイトルなんですが見返すとギャグ要素しかないので、あんまり基準にしないでください。
導師が死んだ。いや、導師の職を果たしたイオンが死んだ。
導師と一目でわかる白いあの法衣を、まるで盗賊か何かに襲われたかのように剥ぎ取られ、さながらアイテムか物のように袋に詰められ、煮えたぎる火山へそのまま投げ入れられた。死体を隠蔽するためにわざわざ死人に鞭打ち冒涜するようなこんな真似をするのだから、当然の如く、彼を悼む墓などない。もしかしてレプリカイオンと同じくどこかに引っかかってたりしていないかと噴出す汗をおして火山を捜してみたけれども、そんな運は続くはずもなく、袋の切れ端すら見つからなかった。落胆のため息を吐いて気づく。彼の体を見つけたところで、どうするつもりだったのだ。
彼が休んだベッドも彼が重宝していた机も彼が愛用していた椅子も、全て同じ、全て新しい物に変えられる。まっさらな導師の私室をかわいた眸で見ながら、レプリカも被験者も、この場合パーツに変わりないと思った。
自分の部屋は導師が何かしたらしく、人が入れないようになっていて、まるで彼が自分を保護しているように思えて腹が立ったが、迂闊に退去命令が出せない大詠師の歯噛みする様は正直胸がすっとしたので、甘んじて受け入れる。
そういえばと腕の譜業の存在を思い出す。新しいイオンに会うことは許されなくなったが、この譜業による身分証明の効力は未だに有効らしい。訪問先でもこれを見せて身分を名乗り上げたせいか、イオンが成り代わったと、導師補佐役を解任させられたと知らない人間には、この奇抜な格好と併せて覚えられているようだ。これを唯一外すことができる人間は結局後始末も十分にやらないまま火山に放られ、自分はまだ、彼の遺物に囚われている。全く、冗談じゃない。


ああ、アッシュの引っ掻き回す世界、見てみたいなー


見たかった、ではなく。見てみたい、と。そう言った。
何だ自分が一番未練まみれなんじゃないか。ただ一言、生きたいとさえ言ってくれれば、精神が擦り切れてでも、ローレライを使ってでも、助けたのに。
涙が頬に道を作るのを感じながら目を閉じる。
何もない、彼がいた気配すらない部屋など、見たくない。
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