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飽かぬ別れ

ジャンル無差別乱発

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ヒトケモノ 3

TOA:レプリカンティスルーク


更に続きで対アッシュ編。
距離感がよくわからない。

◇アッシュ◇


その夜。夜半も過ぎた頃。
アッシュは不機嫌を装って、困っていた。
理由はベッドの上で飼い主を探す犬のように不安げな顔をしてうろうろしている子供である。この子供は今日の宿もイオンと同じ部屋だから、部屋を間違えたのだろうが、間違えたことにも気づいていないのか、アッシュがいることに大層不思議がっている。
アッシュは女衆やアッシュ以外の男衆のように、伝わらないとわかっている相手に話しかけることは、何か気恥ずかしいものがあってなかなかできなかった。それもあって、仲良くしろというナタリアの言に沿えないでいたけれど。


「ぅうあう」
「……イオンか?」
「ぅぅぅるるる」
「………はあ、」


この場にガイがいないことが悔やまれる。あいつどこ行きやがった。
ついには恨みがましい目で膝を抱えて唸り始めたルークに、アッシュは本格的に困った。


「チッ、」


部屋を出れば、誰かしら、少なくともアッシュよりはルークの扱いに長けている人間に出くわすだろう。最悪イオンを呼びに行くかと部屋を出ようとしたが。


「……何なんだ一体…っ!」
「ぎぃ」


相変わらず恨みがましい目をしてアッシュの服を掴んだまま、ふてぶてしくもベッドを占有し続ける子供を睨む。


「オラ、呼びに行ってやるから、放せ」
「わぅ」


やはり言葉は通じない。
行くなこの馬鹿やろうと責めている目は、アッシュの言い分を理解している様子は塵とてない。
掴んでいる服を叩いて無理矢理放させると、今度は腰に飛び付いてきた。子供の堅い額が腰骨に当たってけっこうなダメージになった。よろめいたアッシュは扉に半身を預けてやりすごし、痛みが去った頃にようやく足にまとわりつく子供を見る。
自分で述懐するのも何だが、愛想のない自分は子供にあまり好かれない。そもそも子供と触れ合う機会なんぞほとんどなかったものだから、ガイに 「自分の子供の扱いにも困るんじゃないか」 とからかわれ、赤面したほどだ。正直言って、苦手意識が先行して、コミュニケーションの仕方がわからない。
顔をアッシュの足に押し付けているルークは、まだフードを被っている。部屋の中なのだから、取ればいいものをとフードを取ろうと手を伸ばしたが、見計らったようにルークは口をあんぐり開けてその指先を歯で挟んだ。


「いってぇええええ!!」
「ピギィャアアアア!」


奇しくもその絶叫で、ルークを探していた面々に、ルークの居場所が知れることとなった。

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